サイバーパンクな世界観を表現するレタッチ方法を解説

今回はレタッチでサイバーパンクな世界観を表現する手法について解説します。

使用ソフトはAdobeのLightroomとPhotoshopです。

サイバーパンク系のレタッチは人気が高いので、既に多くの方がレタッチ手法を解説してますが、やり方が千差万別で面白いですね。

本記事も僕なりの1手法としてご覧ください。

サイバーパンクのビジュアル的要素

サイバーパンクの具体的な概念については各自ググっていただくとして…

視覚的なイメージとしてはリドリースコット監督のSF映画『ブレードランナー』(1982)が始祖と言われます。

日本のアニメ業界も多大な影響を受けているので、『AKIRA』『攻殻機動隊』『PSYCHO-PASS』等で描かれる街並みはブレードランナーそっくりです。

サイバーパンクのビジュアル的な特徴を以下に纏めてみました。

・乱立した超高層ビル

・英語、中国語、日本語等入り混じったネオンの看板

・香港をモデルにしたような街並み

・煙や霧でぼんやり

・ホログラム映像

・低めの色温度

・シアンやマゼンダの色被り

概ねこんな感じですかね。
レタッチは予めゴールを設定しておくと楽なので、作りたいイメージの特徴はしっかり研究しておきましょう。
ちなみに、リドリースコット監督はブレードランナー制作時に香港と併せて新宿の歌舞伎町もモデルにしたと言われています。
今回の作例も新宿の歌舞伎町で撮影した写真を使用してます。
反対に東京駅丸の内周辺等、キレイ過ぎる街並みはサイバーパンクな世界観とは相性が悪いです。
東京で言えば渋谷・新宿・秋葉原、大阪の道頓堀等がピッタリの雰囲気ですね。

①素材の撮影

撮影機材:RICOH GR III
撮影設定:F2.8、SS1/30、ISO160
焦点距離:18.3mm(35mm判換算で28mm相当)
色温度:カスタム(3100K)
※kenko ブラックミストNo.1を使用
まずは素材となる街並みの撮影です。
今回の作例は新宿・歌舞伎町にて撮影しました。
色彩鮮やかな看板がサイバーパンクの雰囲気にピッタリです。
地面の反射や傘を持った人々が素敵なアクセントになるので、是非雨が降っている時の撮影がオススメです。
色温度は3000~3500と低めに設定し青寄りに。
ブラックミストフィルターを装着して看板の光を滲ませるとより効果的です。
露出やホワイトバランスは後々も調整できるように、RAWで撮っておきましょう。
看板の白飛びだけ要注意。

②LightroomでRAW現像

撮影後はRAW現像です。

僕は写真の管理面での優位性からAdobe Lightroomを使用してますが、PhotoshopのCameraRAWフィルターで行ってもOKです。

トリミング、歪み補正

撮影した段階ではやや左に傾いてるので、中央の道を基準に水平・垂直を合わせます。

「レンズ補正」を使用し、「変形」にて水平方向を-4、回転を+0.8にて調整しました。

中央の道を水平に合わせてます。

広角28mmなので周辺の歪みはどうしても残ってしまいますね。

基本補正

画角調整が終わったら基本補正を行います。

今回は以下のパラメータで。

・ホワイトバランスは撮影時より少し上げて3200K、色被り補正+40でマゼンダがかかったトーンに

・全体のディティールや地面の反射が際立ち、程よくノイズが乗るので明瞭度を+79

・霧や煙が立ちこむサイバーパンクのイメージに合わせるため、かすみの除去を-25に設定し淡さを出す

・明瞭度とかすみの除去の調整でハイライトが盛大に飛ぶので、ハイライトを-100

基本補正後の状態がコチラです。

 

トーンカーブで明暗を調整

全体が明るいので中間をトーンカーブで下げて暗く調整します。

フィルムルックに仕上げる為にアンダーは多少持ち上げておきます。

 

中間が大きく下がったことでコントラストが出つつも、白飛びや黒潰れを避けた仕上がりになります。

 

色調補正

RAW現像の最後は色調補正です。

サイバーパンクでは鮮やかなシアンとマゼンダが好まれますので、今回はそっち方向で進めます。

補正はこんな感じで。

 

 

カラーグレーディングの項目ではハイライトのみややシアンを乗せてます。

これでRAW現像は終了です。

だいぶサイバーパンク特有の不健康な雰囲気が出てきました。

トーンカーブでコントラストを付けたので彩度がキツいですが、Photoshopでの仕上げ時に調整します。

③Photoshopで仕上げ

RAW現像が終わったらLightroomのライブラリ画面にて対象の画像を右クリック→他ツールで編集→Adobe Photoshopで編集
にてPhotoshopへ橋渡しを行い、仕上げを行います。

この時点でRAWデータはtiff形式に変換されます。

煙・霧を追加する

サイバーパンクと言えばやたらと煙や霧に覆われた街並みが特徴ですね。

ちょこっとアクセントとして加えてみます。

新規レイヤーを追加し、フィルター→描画→雲模様1を適用します。

 

適当な範囲で構いませんので、長方形選択ツール等で一部分を選択します。

 

Ctrl+J(MacはCommand+J)で選択範囲部分のレイヤーを切り取り・複製します。
元の雲模様1を描画したレイヤーは非表示、または削除します。

 

雲模様1を部分的に切り取ったレイヤーを画面いっぱいに拡大します。

 

雲模様1を部分的に切り取ったレイヤーの描画モードを「ソフトライト」に切り替え、馴染むように不透明度を調整します。
(本作例では80%に調整しています)

これで全体がぼんやりした雰囲気になりました。

 

雨を追加する

写真ではストロボでも使わないと雨粒がなかなか写りませんので、Photoshopで追加します。

雨の作り方はコチラのサイトにて詳しく解説された記事がございますので、本記事では割愛します。
⇒【Photoshop】初心者も簡単!降りしきる雨をPhotoshopで描く方法

本作例の場合は雨レイヤーの不透明度を25%と低めに設定し、うっすら程度の描画に留めています。
こちらはお好みで変更してください。

 

こちらが雨を追加した状態です。

 

シアン系の色被りを表現する

次はサイバーパンク特有のシアンやマゼンダの色被りを表現してみます。

新規レイヤーを追加し、円ブラシ(不透明度50%、流量50%、硬さ0%、描画色:白)をチョンと乗せます。

ブラシは本作例の場合、街灯が密集している中心全体を覆うくらいの大きさで加えています。

 

調整レイヤーの「べた塗り」をカラーコード「26a6d5」にて追加し、
先ほど追加した円ブラシのレイヤーに対してクリッピングマスクを掛けます。

 

円ブラシのレイヤーの描画モードを「覆い焼き(リニア)-加算」・不透明度50%に変更します。

 

中心部に淡いシアンの色被りが追加されました。

 

トーンカーブで明暗を最終調整する

これまで追加したレイヤーにより全体が明るいので、トーンカーブレイヤーを追加し明暗の最終調整を行います。

 

暗い部分が下がり過ぎないようポイントを追加して調整します。

 

こちらがトーンカーブで調整後の状態になります。

 

彩度を最終調整する

色味や彩度の最終調整を行います。
調整レイヤーより色相・彩度を追加します。

 

ブルーがかなり強いので、ブルー系の彩度を-20に調整します。

 

マゼンダ系もややキツい印象を受けるので、-8にて調整します。

 

丁度良いバランスになりました。

 

最後のスパイスとしてノイズを加える

最後はスパイスとしてノイズを加えます。
意図的にノイズを加えることでフィルムルックな仕上がりに近づき、退廃的な雰囲気の演出にも一役買います。

全レイヤーを選択し、Ctrl+Shift+Alt+E(MacはCommand + Shift + Option + E)で複製&レイヤーを統合します。(レイヤー4)

更に複製&統合したレイヤーを右クリック→スマートオブジェクトに変換しておきます。

スマートオブジェクトに変換しておくことで、適用させたフィルター効果を後から調整が可能になります。

 

複製&統合したレイヤー(レイヤー4)に対してフィルター→ノイズ→「ノイズを加える」を適用し、

均等に分布・グレースケールノイズにチェックを入れ、量は7%で加えます。

 

最終的にレイヤー構造は以下のようになります。

 

以上で完成です。
お疲れさまでした。